迂路つ記の雑記帳

鳥と、サッカーと、自堕落な日々。

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ことりをすきになった山

文化人類学者のアリス・マクレーランが書いた文に、『はらぺこあおむし』で有名なエリック・カールが独特のコラージュの絵をつけた絵本。草一本生えていない岩山が、小鳥に恋をして、やがて草木の茂る山になるまでを描く。



そこここに、作者が学者であることを匂わせるところがある。あ、私が言う作者とは、あくまで文を書く人のこと。この絵本ではエリック・カールの知名度がはるかに高いため、図書館の絵本コーナーでも彼のコーナーに置かれてしまうが、まず文ありき、だと思うので、彼女の作と考えています。あ、要らん話だったかな。

最初の小鳥が山に「また来てくれ」と請われるが、自分の寿命は数年しかないので、自分の子孫代々にここを訪れるように伝えることにする、というくだり。絵本にそこまで現実的な設定が必要なものかと思ったりするのだが、作者がアンデスをフィールドとした研究で博士号を取得した人、と聞くと、納得がいく。

生命とは無縁だった岩山に、小鳥がもたらす種子から草原が生まれ、やがて森林になる。まったくのノンフィクションなテーマだ。これを絵本に仕立て上げてしまうエリック・カールの絵はさすが。このような森林の再生が、実際に長い時間をかけて行われている現場が、三宅島や雲仙などをはじめ、火山国日本にはたくさんある。決して絵本だけの世界ではなく、森林とはこんなに取り戻すのが困難なものなのだ、と言うことを、この絵本を通じて多くの子供たちが感じますように。

最後には岩山は緑の山となり、いつのまにか山をすきになったことりの話になっている。彼らと同じような気持ちで、鳥を愛し、山を愛せる人間になりたいものだが、さてどうだろうか。

文:アリス・マクレーラン
絵:エリック・カール
訳:ゆあさ ふみえ
出版:偕成社
ISBN 4-03-327340-9

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Comments
Edit
これも良い話ですね。
山の再生、小鳥に任せきりでは申し訳ないです。

学者が書いた物語ということでザルテンの「バンビ」を連想しました。

Edit山の再生
近いところでは、足尾の山の再生が、もっとも興味を惹かれます。結局は有志が人力で土を担いで山を登っていらっしゃるんですよね。頭が下がります。

“ザルテンの「バンビ」”っていうの、存じません。絵本を探し出してくるのはかみさんの役目なので、もしかするとそのうち読むかも。
Edit説明不足でした
ディズニーのアニメ「バンビ」の原作者はザルテンです。原作というにはあまりに内容変え過ぎということで話題(?)になりました。
言葉を端折り過ぎましたね;

足尾の山、あれも大変な活動ですね。
森の再生、利益が出ないので結局は無償労働に頼らざるを得ない現状です(CSRなのか環境税対策なのか、企業が参画し始めていますが)。
儲かる商売を思いついたら山を一つ買ってみたいです・笑
Editバンビ
原作だったのですか。
私が最初の返信を書いた時には、既にかみさんがアマゾンに注文を入れていたようです ^^;
でも、よく考えたら私はディズニーのバンビも、全然知らないんだよなぁ。
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